ドイツ ハンブルグから

会員名:引田明子
 出身 :埼玉県


国際交流協会のみなさま、こんにちは。
RIAのメンバー、引田明子です。
私は昨年、(2005年)4月よりドイツへ渡り、現在はハンブルグに拠点を置き、ピアノの研鑽と音楽活動を続けております。

 ハンブルグはドイツ北部の工業都市で、国内で二番目に大きい、人口170万人の都市です。ハンブルグ生活もこの10月で1年経とうとしています。当初、学校や電車の中、まわりの至る所で「呪文」にしか聞こえなかったドイツ語も、今では少しマシ?になり、無意識のうちに会話に耳を傾けられるようになりました。アジア人である私は、さぞやもの珍しがられると思いきや、ドイツは他の国々と比べて外国人居住者が多いようで、街でもドイツ語は言わずもがな、英語・フランス語・アラビア語・ウクライナ語・・・・etcと実に多種多様なのです。

 私も今は、ハンブルグ市内にある巨大学生寮に住んでいるのですが、お国も習慣も様々です。キッチン、バスなどは共同なので、食事一つとってもお国柄の違いを見ることが出来ます。大量のジャガイモを茹で、パンを焼いているのはドイツ人。細長いお米を炊いて付け合せのおかずに添えているのはブラジル人。お釜でご飯を炊いて、お味噌汁を作っているのは・・・わたしです。
そして、週末ごとに寮の地下で行われるパーティは学生たちの「エネルギー発散の場」となり、夕方7時頃から翌日の明け方まで延々と続きます。皆、大音量の中でお酒を飲み、踊り明かすのです。ただでさえ聞き取りにくいドイツ語が、大音量でかき消されそうになるのですが、なぜかコミュニケーションが取れていたりするのがフシギです。そして、翌日の寮はお昼ごろまで静まり返る・・・という具合です。

 休日は寮の庭のベンチでゆっくりとブランチを摂ったり、散歩をしたり。
以前、雪が降った時など、部屋にこもっていた私に、「雪合戦しよう!」と寮の仲間が誘いに来てくれた時は正直「この年令で?!」と驚いてしまいましたが、勉強や仕事と遊びをしっかり区別する徹底振りには、いつも感心させられます。

 ハンブルグは大貿易港としても有名です。地下鉄で20分も行くと港へ出られます。普段あまりお目にかかれないようなクィーンメリーなどの豪華客船を目の当たりにすればそのスケールの大きさにただただ圧倒されるばかりです。又、この街は緑も豊かで、公園や広場が随所に見られます。最近、私の帰宅お気に入りコースがあり、夜7時頃になると教会の庭に野生のウサギの子が20匹位ぴょんぴょん跳ねていて、感動のあまり立ちすくんでしまったほどでしたが、今では通りからこっそり観察するのが楽しい日課となっています。早朝はリスやハリネズミなども見られます。

 長い冬が終わり、春が来た〜と思ったら、わずか2週間位で夏に突入、ワールドカップも大いに盛り上がり、私も特設会場に出向き、ビール片手に応援しました。ここでも各国のお国柄満載でした。そして今はもう秋・・・7〜8月は夜9時過ぎまで明るかった空が、今は夕方6時くらいで暗くなりはじめ、この先、日ごと日が短くなり、これから冬にかけては3時頃から暗くなりはじめます。

 南ドイツに比べ、お城などは少ない北ドイツですが、歴史的な建造物、オペラハウス、教会など、ため息が出るほど美しい景観と季節の移り変わりを日々感じられる自然が混在するドイツは大変魅力のある国です。私も外国に来て、はじめて自分が「外国人」になって感じることが多々ありました。たとえば、親切に道を教えてくれただけでも、一日中ハッピーになれたり、当たり前の些細なことに感動できたり、人々の優しさに感謝できたり、何よりも、この地で自分の好きな音楽に浸れる環境にこころから感謝できたり・・・そんな事に気づかせてもらえた事は、自分にとっての大きな収獲です。

 今秋10月に一時帰国して、3回目のピアノリサイタルを開催させていただく事になりました。
日本オペラ界の若手実力派、テノール歌手の高橋 淳さんをゲストにお迎えして、本格的クラシックから名曲まで、トークを交えながらの、楽しいコンサートをお届けしたいと思っております。
ピアノと歌の響きをお楽しみいただければ幸せです。

会場でみなさまにお目にかかれるのを、こころから楽しみにしております。
2006年9月9日   ハンブルグにて        引田 明子


引田明子プロファイル
 引田明子(hikita akiko)嵐山町出身。3歳よりピアノを始める。
 東京音楽大学付属高校を経て東京音楽大学卒業。
 数々のピアノコンクールに入賞。在学中より全国各地で演奏活動を行う。
 新日本フィルコンサートマスター豊嶋泰嗣氏との共演をはじめ、多くのアーティストと共演、好評を博す。
 2002年地元で初のチャリティピアノリサイタルを開催、以後隔年で地元でのリサイタルを行っている。
 2005年より奨学金を得て、ドイツ ハンブルグのInternational college of musicに留学。マンフレッド・フォック教授の下で研鑽中。